モアレ
モアレ(moire)とはフランス語で波紋・干渉縞という意味で、布地に表れる波型の模様のことで、杢目(もくめ)模様あるいは水模様という。生地の均一性を損なうために望ましくないものであるが、あえて意図的に美しい杢目模様を織り出す場合もある。シルクやタフタなどのモアレ生地はウエディングドレスによく用いられる。
モアレが発生する原因は、織機の動作不良や、水分を含んだ生地を強く巻き取ったり、生地を重ねて圧迫したりするなどの劣悪な保存状態の時に生じる繊維の不規則性から現れたり、平行な繊維を複数重ね合わせることで発生する。生地表面にできた凹凸が見る角度により干渉縞を作り、光沢異常の原因となる。
モアレ加工は意図的に織物に波形模様をつけてモアレを発生させること。ローラーでプレスして波形をつける方法や、互いに畝があり密度が異なる複数の織物を、表地と裏地とで角度を付けて重ね合わせ加圧することで、干渉縞を作る方法などがある。
モアレという言葉の由来は、アンゴラ羊の毛織物製衣服を意味するアラビア語/ペルシャ語の "mukhayyar" が起源とされる。16世紀にはこのアンゴラ羊の毛織物を意味する英語として "mohair(モヘヤ)" がうまれ、フランス語では"mouaire"と変化する。17世紀に英語に逆輸入されて "moire" となったとされる。一方フランスでは、「波模様を発生させる」という意味の動詞 "moirer" に変化し、19世紀には形容詞の "moire" が派生した。英語では "moire" と "moire" は同義語として扱われている。
モアレは織物だけでなく、印刷物や画面上に規則正しい繰り返し模様を複数重ね合わせた際に、互いの周期のずれにより起こる光学的干渉現象や、生じた干渉模様を指す言葉でもある。

モーニングカット
モーニングカット(morning cut)とは、ズボンの裾のカットのひとつで、シルエットを美しく見せるために、甲からかかとにかけて後ろ斜め下にカットしたもの。前後の高低差は一般的に1.5〜2cm程度。足が長く見える効果がある。主に礼装用のズボンに用いられるカット法だが、70年代に流行したベルボトムのジーンズにもよく見られた。
モーニングカットの語源は、モーニングコートのズボンがこの型となっていることが由来。正式にはアングルドボトム(angled bottom:角度をつけた裾の意)という。
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モーニングコート
モーニングコート(morning coat)は男性の昼間の正礼装。夜間には着用されない。別名カット・アウェイ・フロックコート。へそ下あたりの短い前裾から、膝裏下あたりの後裾まで斜めにカットされた黒のジャケットが特徴的。ジャケットと共布のベストに黒とグレーのストライプか黒白小格子のパンツを着用。シャツは立襟でダブルカフス、アスコットタイを合わせる。真珠または白蝶貝のカフスボタン、ポケットチーフは白のスリーピーク、黒の短靴、サスペンダーを使用する。
元々はフロックコートの前裾を乗馬用に切り落とし、朝の散歩服として作られたものが起源。19世紀中頃、昼間の正礼装に制定されたが、現在では過ぎ去った昔の時代衣裳で、結婚式での父親の衣裳や、叙勲や授章等で宮中に参内するときぐらいにしか使用されない。
■モーニングコートの正式な着方


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模擬挙式
挙式のデモンストレーションのこと。新郎新婦や牧師役のモデルが登場し、本番さながらに挙式を実演してくれるイベント。定期的にブライダルフェアなどで催されており、参加者は列席者席でゲストの視点から見学することができる。式次第の内容や雰囲気を実際に確認できる良い機会なので是非参加すると良い。
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模擬披露宴
披露宴のデモンストレーションのこと。本番さながらに装飾、装花、テーブルコーディネートが施された会場で、新郎新婦の入場やキャンドルセレモニーなどの演出の実演が行われる。定期的にブライダルフェアなどで催されており、参加者は列席者席でゲストの視点から見学することができる。披露宴料理の展示や試食を行っている場合もある。
ウエディングドレスのファッションショーや試着会などのイベントが同時に催されていていることもあり、ドレスの下見も兼ねることができる。披露宴の実際の雰囲気や音響・照明など、通常の会場見学では分からないことを確認できる良い機会なので是非参加すると良い。
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もぎり
入場の際にチケットなどの半券を切り取ること。チケットにはミシン目が入って一部が半券になっている。このチケットをもぎり券やもぎり札と呼ぶ。語源は「もぎり取る」から由来するとされる。ブライダルでは、二次会やカジュアルなパーティにおいて、もぎる半券にゲストの連絡先を記入して貰い、芳名の代わりとして用いられる場合がある。
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目録
目録とは結納品の内容を記したもの。「茂久録」とも書かれる。結納品を贈る側が用意し、結納の際に結納品と一緒に贈られる。一方受け取った側は受領の証として「受書」を返す。目録は薄い白木の板で作られた献上台の片木盆(へぎぼん)に結納品や結納金と共に載せて取り交わす。目録は結納を購入した際に付いてくる場合が多く、日付・名前等を記入すれば良いだけになっている。結納に合わせて、家族の名前を記した「家族書」および親族の名前を記した「親族書」を交換する習慣もある。
目録は奉書を2枚重ねにして半分に折り、わを下にして毛筆で書く。宛先は一般的に親名義だが、最近は本人名義の場合もある。表書きは目録もしくは寿と書く。文末には句読点を打たない。日付は「平成○○年○月吉日」と、明確な日にちではなく吉日と記す。本来、目録は納品書のようなものなので水引を掛けなくても良いのだが、実情では水引を掛けた目録が一般的である。
目録に記載する内容は、具体的な結納品名と個数を列記するが、寿留女(するめ)、子生婦(こんぶ)、勝男武士(かつおぶし)などと当て字の雅語で書く。結納金は、男性側から女性側に贈る際は、「御帯料(おんおびりょう)」「小袖料」「帯地料」などと書き、受書も同じ表記をする。女性側から男性側に結納金を贈る場合は「御袴料(おんはかまりょう)」(受書も御袴料)と書くのが一般的。
婚約指輪や時計などの結婚記念品を贈る場合は同時に記載し、指輪は「優美和(ゆびわ)」、時計は「登慶・十慶(とけい)」などと当て字される。なお、婚約指輪は結納金の一部に含まれるので、男性からは「御帯料壱封結美和付」、女性から記念品として男性に時計を贈る場合は「御袴料壱封登慶付」などと表記しても良い。
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モチーフ
モチーフ(motif)とは、テーマ、基調、主題という意味。何かの形をイメージして物を作る際にそのテーマとなるもの。ハートや花など何かをモチーフにして地金を模ったり宝石をレイアウトしたものをモチーフジュエリーと呼ぶ。
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持ち帰り用ケーキ
引出物と一緒にゲストに持ち帰って頂くケーキのこと。ケーキカットを生ケーキで行う場合は、新郎新婦が入刀したケーキは後で切り分けられてゲストに振舞われるが、セレモニー用ケーキの場合、食べることはできない。そこで幸せのお裾分けの意味を込めて、お土産として別途ケーキを用意することがある。持ち帰り用ケーキの料金はセレモニー用ケーキ代とは別料金。
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持込料
式場で用意されているアイテムを利用せずに、外部業者を手配したり自分で用意したアイテムを持ち込み、保管してもらう際に発生する料金。保管料とも言う。一般的に引出物や引菓子を持ち込む場合は1品あたり300〜500円程度かかる。片方を式場提携の店で購入すれば持込料が掛からない場合もある。衣装を持ち込む際には管理手数料として、持込料が1万円から数万円かかり、会場によって幅がある。
持込料というが保管のためのコストというよりも、会場の売り上げを補填する方法として用いている慣習的なものとも言える。持ち込み自体を禁止している会場もあるので、事前に確認しておく必要がある。もちろん持ち込み自由な会場もあるので、オリジナルウエディングなどで持ち込みたいアイテムがある場合は、会場探しの時点でそういった会場を検討して選ぶと良い。
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元卓
元卓(もとたく)とは、ビュッフェ形式の際に利用される料理を載せるテーブルのこと。ブ ュッフェ・テーブル。広義にビュッフェ形式自体のことを指す場合もあり、立食元卓、元卓着席などと表現される。元卓を飾る花を元卓装花と呼ぶ。
ちなみに元卓に対してゲストが座って召し上がるテーブルを「ちらし」と呼ぶ。元卓を会場中央に設置する場合をセンター・ビュッフェ、壁に沿って配置する場合を再度・ビュッフェと呼ぶ。
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モンタールキャンドル
キャンドルサービスのメインキャンドルに、小さなキャンドルを階段状や螺旋状に配置したものをモンタールキャンドル(montar candle)と呼ぶ。モンタールと略して呼ぶこともある。裾部分のキャンドルは多く、昇るに従って減って行き、一番上に大きなメインキャンドルがある。小さなキャンドルは一つ一つゲストに着火して行って貰い、最後に新郎新婦が一緒にメインキャンドルに点火する演出。モンタールとは、スペイン語で「乗る」という意味。
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紋付・紋服
紋付(もんつき)とは、(1)家紋がついていること、また紋そのもの。(2)家紋をつけた礼装用の和服のこと。紋服ともいう。
単に紋付と言えば、慣用的に男性の和装第一礼装である五つ紋の黒の紋付羽織袴を指す。女性用で紋の付いた着物は、留袖、打掛、色打掛、喪服など細分化された名称に、「紋付の〜」「五つ紋の〜」といった形容詞を合わせて表現することが多い。
紋付には、五つ紋・三つ紋・一つ紋などがある。背紋(背中)・袖紋(両袖)・抱き紋(両胸)の五つ紋が最も格式が高く正式なもので、三つ紋(背紋と袖紋)、一つ紋(背紋のみ)と紋の数が減るにつれて略式になる。染め抜き紋が正式で縫い紋は略式。
紋の起源は平安時代の公家社会で装飾用に用いられてものが始まりとされ、平安末期から鎌倉時代の武士文化の始まりと共に、旗印として紋を作り敵味方を区別する紋章として用いるようになった。また身分や階級を表す意味も含まれるようになる。江戸時代になり泰平の世となって、商人をはじめとする庶民が台頭していくにつれ、江戸時代中期には有力な商人や富農は屋号という形で苗字を名乗るようになり、それに合わせて自分たちの目印として家紋を作るようになる。明治になり封建政治時代が終わると、庶民にも苗字や家紋を持つことが許されるようになる。
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紋付羽織袴
紋付羽織袴(もんつきはおりはかま)は現代の男性の和装第一礼装。結納や結婚式、葬儀、式典などの冠婚葬祭で用いられる。紋付と省略されたり、紋服とも呼ばれる。
黒染めの起源は10世紀頃に遡り、黒紋付染として確立したのは江戸時代初期と見られている。この頃の羽織袴は武家の日常着であり、正装は裃(かみしも)だった。紋付羽織袴は江戸中期には次第に下級武士や町人の礼装として扱われていく。幕末には紋付羽織袴は武家の公服(公の場に着ていく服)、準礼装となる。明治維新の太政官令の勲章着用規定によって裃が廃され、男子の第一種礼装として紋付羽織袴を用いることが定められたことから、一般の礼服として広く普及していった。

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